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ポゴレリッチのコンサート2012年 [コンサート]

5月9日、サントリーホールで行なわれたポゴレリッチのコンサートに行ってきました。ポゴレリッチの演奏は2年前の2010年5月5日以来。あの時は正直…疲れたコンサートだったので(その時の感想はこちら)、今回はどうしようか…と悩んだのですが、やっぱり私はポゴ信者かも…と思い、行ってしまいました。

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サントリーホール


ここのところ、あまりの過激な演奏に賛否両論が飛び交っているポゴレリッチ。2年前の演奏では牛歩のごとく織りなされていく時を過ごしたけれど、2年経った今年はいったいどう進化しているのかしら? 興味はそんなところ。


いつもコンサートにはギリギリで駆け込む私が、今日は珍しく30分程余裕を持って到着することが出来ました。

ホールに入ってみると「あ、まだ調律やっているのかな?」と。だけど、調律にしてはちょっと変わったやり方ね…なんて思ってステージを見ると…なんと、ポゴレリッチご本人が帽子かぶって、静かに弾いていたのでした。えええええ?! まだリハ(リハーサル)中?! …では…ない様子。

とてもソフトな音で不思議な和声みたいなのを鳴らし続けていたんです。入念にその響きを聴きながら、タッチを確かめていたのでしょうか? お客さんが入ってきてもずっとそれは続けられて、開演の5分前にやっと引き上げていきました。もうこの時点でやっぱり「異端児」という愛称(?)は、永遠なんだわ…と(笑)。

さて、ここでプログラムです!
こんな感じ。

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2012年5月9日(水)19時 サントリーホール

ショパン/ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.35「葬送」
リスト/メフィスト・ワルツ第1番 S.514
ショパン/ノクターン・ハ短調 op.48-1
リスト/ピアノ・ソナタ・ロ短調 S.178


1曲目から、葬送ソナタっす!! 重いじゃろ〜。しかもポゴレリッチの葬送体験は半端じゃない…!! というか…私は多分一生のうちでこの人のこの曲以上に心を打つ演奏には二度と出会えないだろう! と思ったのが、12、3年前に聴いた時。身体が動かなくなるくらい、おえつが出そうになるくらい泣けてしまったポゴレリッチのレパートリー(少しだけですが、その時のことを書いた記事はこちら)。いきなり…ですか…。いきなり…ですよ。聴く方にも覚悟が必要になります!!


ショパン (1810-1849)/Piano Sonata 2 Etc: Pogorelich


この曲…前回聴いた時にすごいことになってしまったけど、2年前の延長線上のように演奏されたら…もう…ポゴ・ファンをやめてしまうか、クラシックを聴くことをやめてしまうかもしれない…。大げさじゃなく…そんなことを考えていました。

そんな私の心を払いのけるかのように演奏が始まりました。
2年前のポゴレリッチとは明らかに違う! そして12、3年前に聴いたあの時ともまた違う。そこにはまぎれもなく大人になったというか、落ち着いたというか…余裕の感じられるポゴレリッチの「葬送」が流れていきました。

インテンポとそうじゃないところがあったこと、そして、装飾音がとても強調されていたことが、以前の演奏の時と大きく違っていたように思います。

その装飾音なのですが、次第に私には人々の会話に聞こえてきたんです。何か言っている!

…父を亡くした時のことを思い出しました。…その時に交わした生きている者たちの会話、嘆き…。そんな感じに聞こえてきてしまったんです。一言一言に想いが込められている。それはとても無器用な会話で、人を亡くしてしまった時ってそんな言葉しか出てこないし…。それがものすごく私の心に響いてきてしまって、涙が溢れてきてしまいました。とめどなくは溢れてこなかったけれど、静かにほほを伝っていきました。そんなこと思って聴いている人はいなかったんだろうな…。

ポゴレリッチもこの曲に対して以前のように、むき出しの感情でぶつかっていくことなく、静かに受け止めながら弾いているように見えました。


ピアノ作品集/Pogorelich Chopin Prokofiev: Sonata Ravel: Gaspard De La Nuit



続くメフィスト・ワルツ。
これは…正直笑っちゃいそうなくらい…前回同様、スローなテンポで…。曲のイメージが全然違ってしまいました。というか、私の知っているメフィスト・ワルツじゃないです。これは。多分(笑)。異なるアクセントの位置とか、不思議なバランスの響きとか、まるで現代音楽を聴いているかのような錯覚すら覚えましたよ。まさにポゴレリッチ・マジックという感じ。とはいえ、1音1音がやけに美しいのです。不思議体験でした。2度音程はすごく強調して弾かれ、響きのうねりも楽しんでいた気がしました♪ この段階のスロー・テンポは充分許容範囲な感じです^^v


リスト、フランツ(1811-1886)/Piano Sonata: Pogorelich +scriabin: Piano Sonata 2



後半に入り
ショパンのノクターン。
これもスロー・テンポでした。1拍が1.5秒くらいの速さに感じました。やっぱりポゴレリッチのショパンはいい! たとえテンポが自分のイメージとかけ離れていたものだとしても、織り成されていく音たちの美しさは健在だし、フレーズにドラマがあるのです。特にppの音の並びは、ずっとそばにいたくなるし、ffも力みのないずっしりとした響きを伴うし、そのデュナーミクはやっぱりさすがだなって思いました。そしてピアノって凄い楽器なんだなって認識するような音の幅を見せつけられました。これもまた泣きそうになっちゃいましたよ。



最後のリストのソナタですが…。
この曲、自分でも弾いたことがないこともあり、わかりませんでした。…というか、…というか、…というか!!!!! わかりませんでした!! 

この曲…20時25分から始まり、21時18分頃終了って、長かったです。。。まぁ、ところどころインテンポ以上なところもあったのですが…。

R0026414_2.jpg


めちゃくちゃ倍音にこだわっていたような気がします。今回のプログラム全てに共通することでもあるのですが、ペダリングがちょっと不思議感覚でした。わざと音を濁らせているような気もしたし、倍音をたくさん鳴らしたがっていたような気もするし…。とにかく私には…よくわからなかったのでした。。。^^; 

とはいえ、時折、とても単純に単音の響きをくっきりと浮き上がらせて強調させることによって、清らかさや聖なる響きのような効果が得たり、祈りを捧げているようにも見えたり…。

そんなリストのソナタでした。わからないなりに、わかったことは、ポゴレリッチは怪物だろう! ということでした(笑)。そしてこの日はピアノの演奏会を聴きに来たのではなく、オーケストラの演奏を聴きにきたのかもしれないな…と思いました。ピアノの音だけには聴こえなかったというくらいピアノを操っていたからです。更に…よくわからなかったのに、感動がこみあげてきた自分もいました。リストの時代の「ピアノ」にあたる楽器ってなんでしょう? ハープシコード? チェンバロ? ピアノフォルテ? そんなことも知らない私ですが、リストのソナタは、なんだかそんな古い楽器の音色ってもしかしてこんな風に響くのかもしれないな…なんてことも頭をよぎりました。


一応覚悟して行ったから、一昨年のようなショックも受けなかったし、彼の音楽を最後のリスト以外は全部受け入れられました。(最後のリストも素晴らしい演奏だったと言っていらっしゃるお客様も多かったです)

結局…私…やっぱりポゴレリッチが…好き…みたい^^*
そんな結論に達してしまったようです。

ちなみに…全曲、楽譜を見て弾かれました。アンコールはなしです。

おそまつ!


*間に入れてあるジャケ写は、今回のコンサートで売られていたCDたちです。(HMVのページに飛びます)見る見るうちに売れていきました(2階から見ていました)。だけど、もしこの日のコンサートのような演奏をこれらのCDに求めても絶対に違っていると思います(笑)。

録音した時のポゴレリッチと今のポゴレリッチの演奏は全然違っているはず。ポゴレリッチの進化はどこまで続くのだろう…。これらのCDを耳タコくらい聞き込んで、次回、コンサートに臨まれる方はきっとガツンとやられることでしょう(笑)。


HMVジャパン クラシック検索


今年のポゴレリッチのコンサートは13日にしらかわホールでも開催されます。一昨年のことがあったせいか…まだ残席がある…なんて信じられませんが(笑)。サントリーも少し空席が目立っていました。まだ間に合うみたいですよ♪ ↓ 
[5月10日追記:売り切れました]

チケットぴあ

スマフォ用 [次項有] チケットぴあ
ポゴレリッチに関するうさ記事一覧はこちら
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コメント 11

MUUSAN

すばらしい!うささんの文章が!
by MUUSAN (2012-05-11 16:55) 

うさ

>MUUSANさん
ありがとうございます…というか…大汗かいていまっす^^;
by うさ (2012-05-12 12:34) 

moz

久しぶりのこちらのアップ、楽しく読ませていただきました。
たまには、うささんのクラシック記事も読みたいです ^^
2年前のポゴレリッチ、ぼくもラ・フォル・ジュルネだったと思いますが、聴きました。感想は、すごい・・・すごいけれども変わっている。音も、人も、ピアノも・・・、そんな感想でした。
コンサートを聴くのではなくて、ポゴレリッチのパフォーマンスを聴き、見させてもらうのだろうなって、そんな感じでした。
独特の哲学があるような。そんなところが、好きな方はきっとふかーーくはまるんだろうな、そんな感じがしました。
それから、2年。
熟成? 進化?
ポゴレリッチさんは、そんな感じの2年間だったみたいですね。うささんの文章、じぶんでも実際に聴いているような気がしました。聴いてみたかったです ^^
今年は、ラ・フォル・ジュルネでもピアノを聴きませんでしたので、そろそろ良いピアノの音色が聴きたくなっています。とりあえず今はラフマノソナタ2番。グリモーちゃん ♪
by moz (2012-05-19 05:35) 

うさ

>mozさん
コメントありがとうございます^^*
クラシック・ネタは書く時にえいや! っと気合いを入れないと書けないのでなかなか面倒くさがりやの私には腰が持ち上がらないのです^^; とはいえ、こんなふうに心に響く音楽を聴いてしまった時は、とりつかれたように書き上げてしまうのですけれど…ね(笑)。

そうでしたよね。mozさんもフォルジュルネでポゴの演奏を聴かれたこと覚えていました。あれは、ポゴ・ファンとしては信じたくない演奏会でもありましたが(笑)、今回は以前のポゴが少しパワーアップして戻ってきてくれたようなそんな気もしたコンサートでした。なんか「巨匠」に足を踏み入れたような…そんな印象です。

グリモーちゃんの演奏もいいですよね^^ 私的にはソナタの2番より、マイナーな1番が好きで、録音をしている人も少ないのですが、ベレゾフスキーの演奏がなかでも好きです♪ ロシアの鐘の音や、ディエス・イレをすごく意識した演奏な気がするし、やっぱりロシア人だからこその感性があるように思うからかなぁ。
by うさ (2012-05-19 15:13) 

さとさとQQQ

こんばんは。初めての書き込みです。
先日のフェアの事前セミナーにおじゃまさせていただきました。その方面ではほぼ初心者で恥ずかしい限りなのですが。。。

で、私はクラッシックに関しては素人ですが、ポゴレリチはひそかにファン?だったりします。ショパンのプレリュード、最初聞いたのはアルゲリッチでちょっとなー(笑)、と思って次に聴いたのがポゴレリチ。始めは借りてだったのですが結局は(中古でですが)CD買っちゃいました~。

余談ですが、ポゴレリチがショパンコンクールで予選落ちしたとき、審査員の一人がアルゲリッチだったそうで・・・彼が予選落ちになったことに対し激怒し審査員を何度か断ったのだとか。コンクールが5年に一度でたしか4回ほど、つまり、このことに対して20年ほどへそを曲げていた(笑)ということらしくて。。。彼らの演奏に違いはあっても共通する部分はあるのかな、と思ってみたりしています。

もしよろしければ、ではまた~。

by さとさとQQQ (2012-06-24 19:30) 

うさ

>さとさとQQQさま
こんにちは!
レスが大変遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。
コメントありがとうございます^^ そして、セミナーにも来てくださったんですね!!
こうして書き込んでいただけたこと、本当に嬉しく思います。
私もまだまだ初心者から脱皮出来ずにおりますので、一緒に頑張っていきたいですね♪

さて、アルゲリッチが審査を放棄したという大混乱となったコンクールのお話、実は
http://usausa-classic.blog.so-net.ne.jp/2010-01-13
こちらに少し書いてあります^^
そこまで言い張るってなかなか出来ないことですよね。当時、高校生だった私は、この事態に興味をもち、結構早い頃からポゴレリッチに注目していてショパン・コンクールのレコードが実家にあったような気がします。やっぱりアルゲリッチは、才能を見出す力って凄いと思いますね。アルゲリッチ音楽祭なども、若手の伸びそうな無名のアーティストを起用したり、育てようっていう気持ちがすごく強い人じゃないかなと想像しています。

ポゴレリッチも後進の指導にあたっているみたいだけれど…彼はどうかなぁ(笑)。弟子たちは、絶対にマネ出来る演奏じゃないですものね。けれど、彼のテクニックや創り上げる音楽の世界は本物だと思っています♪

こういうお話も出来るなんて、すごく嬉しいです!
これからもどうぞ宜しくお願いいたします!!
by うさ (2012-07-05 14:28) 

さとさとQQQ

うささん、こんにちは。
こちらこそ、遅くなって、またコメントしていただいてありがとうございます。

少しばかりマニアック?なハナシができてとても嬉しいです(笑)・・・と言ってもはたちころまでクラッシックもジャズもほとんど縁がなくて(汗)。

その後、ジャズ系のライブハウスはそれなりに行っていた時期もありましたが、クラッシックのコンサートはホントに数えるほどで、素人です。
近くの無料のオルガンコンサートとか、アマチュアのピアノコンチェルト、それと…たまたま見つけて行ったスクリャービン博物館(モスクワ)でのコンサートはちょっと珍しい経験だったかも?真っ赤な!ピアノで2時間ほど、後半はショパンのプレリュード(全曲)。

基本的にはコンサートは敷居が高くて苦手ではあるのですが、近いうち行ってみたいですね。動画ではランランのトロイメライが圧巻かな、と個人的には。

>リスト/メフィスト・ワルツ第1番 S.514 

一度、生演奏聴いてみたいです!
サントリーホールへも行ってみたいです!

すみません、まとまりのない文章となりましたが、
もしよろしければ、ブログ関連(と音楽(笑))とも
よろしくご指導のほどお願いします!

ではまた。 

by さとさとQQQ (2012-08-11 22:47) 

さとさとQQQ

こんにちは。コメント、昨日にひきつづきですみません。

ひとまず、来月初め、コンサートを予約。
2階、3階もある大きなところで、
そもそもこの私が、事前に予約すること自体珍しいです(笑)。
聴くだけなのですが、少しばかり緊張、でも、楽しめたら、と思っています。

お目当てはショパンのエチュードです。
では~。 

by さとさとQQQ (2012-08-11 22:48) 

うさ

>さとさとQQQさん
再訪ありがとうございます^^ 
すごく嬉しいです!

マニアックな話はそこまで私に知識がないので、どこまでついていけるかわかりませんが、少しだけなら、クラシック音楽のお話しにたまに遊びにいらしてくださいませ^^



私も昔ジャズを聴いていた時期があります。が、誰の何に惚れたというところまではいかなくってただBGM的に流れているのが良かったり、ジャジーな和声進行を自分のピアノで探り弾きしたり…そんな程度なんですけれど、心地よいですよね。スローテンポの方がどちらかというと好きかもしれません。(アルコール飲みながらだと最高!)



>スクリャービン博物館(モスクワ)でのコンサート


すごい!! 本場に行かれているんですね! 
私、ロシア物には目がありません!!!!! 憧れてしまいます^^



それから、ラン・ランの映像、今ちょっと音の出せない環境から(会社のお昼休み)なので、自宅に帰ったら見ますね。ちなみに…私、めっちゃラン・ランのファンです!! コンサートも何度も行っているし、ファン・クラブも入っていたりします(笑)。fbやtwitterでのフォローはもちろんのこと、ほんっとに大好きなんですよ♪ 彼の表現力は半端じゃないですよね。もしかして、さとさとQQQさんと好みがすごく合うのかも…。



ラン・ランのパフォーマンスで私的に好きなのは、オレンジを使ってショパンの黒鍵のエチュードを弾いちゃうというものです(笑)。…というか…ラン・ランを語らせたら、夜中までかかってしまうかもしれないので、とりあえず、今日のところはこのへんで。

そうそう、コンサートを予約されたとのことで、どなたのコンサートですか?
今度感想など教えてくださいね^^
by うさ (2012-08-11 22:50) 

さとさとQQQ

こんにちは。お久しぶりです。

で、コンサートですが、
当日、出かける直前の曲目変更でお目当ての曲がなくなった事を知り、
そして、タイミング悪く電話があり話し相手をしていたら、時間がすぎぐったり・・・というわけで行けずに終わりました。
しかも、チケットのキャンセルもできず・・・(泣)。
by さとさとQQQ (2012-08-11 22:51) 

うさ

>さとさとQQQさん
こんばんは! 


コンサート、残念でしたね。。。 確かにお目当ての曲がなくなってしまうと行くのが億劫になってしまうことってありますよね。ただ、新しく別の曲に刺激されることもあるので、音楽とのご縁というのも、もしかすると…あるのかもしれませんよ♪
by うさ (2012-08-11 22:53) 

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